別の記事でもお話をしたスロージョギングに“ニコニコペース”という速さで走ることの大切さについてこの記事では解説します。
そもそもニコニコペースがどういうものか把握できていない方が大半だと思いますので、そこから説明したいと思います。
フルマラソンで必要なニコニコペースとは
ニコニコペースがどのようなペースかというと、その呼び名の通り、笑顔を保ちながら走れる程度のことです。
具体的には、疲労物質である「乳酸」が蓄積し始める程度の強さの運動のことを指します。
つまり、息切れすることなく笑顔のまま、話ができる上限のスピードとなるウォーキングやジョギングとイメージするとよいです。
ニコニコペースを明確にするためにも、人が走るペースを4段階で区分します。
「ルンルン」「ニコニコ」「がんばり」「しかめっ面」の4つがそれであり、表情から名付けたものです。
まず「ルンルンペース」ですが、これは「ニコニコペース」よりも軽いペースで、スタミナを高めることは期待できません。
しかし、体脂肪を減らすことには効果があるペースとなります。
「がんばりペース」は、これまで知られているインターバルトレーニングに相当すると考えてください。
「しかめっ面ペース」はまさに歯を食いしばるペースで、これまでの根性論で展開されてきたトレーニングがここに該当するでしょう。
特にこの「しかめっ面ペース」は、ランニングスキルを高めるどころか故障やオーバートレーニングを引き起こしかねません。
また、フォームを考える余裕などあるはずもなく、がむしゃらに頑張った結果、おかしな癖がつくこともあるのです。
一流のマラソンランナーショーター選手のトレーニングメニュー
次に、サブ4やサブ3といった記録を達成するために、一流のランナーのトレーニングを参考に、どのペースで走るべきなのか比較してみましょう!
以下の表は福岡国際マラソン4連勝という偉業を成し遂げたフランク・ショーター選手の1週間のトレーニングです!
表1 ショーター選手の典型的トレーニングメニュー
マラソンの記録から、彼のニコニコペースを推定すると317m/分となります。
これをもとに、表を見ると、実に全体の80%を「ルンルンペース」と「ニコニコペース」が占めているのです。
つまりマラソンのタイムを飛躍的に縮めるためには、この4つのうちの「ルンルンペース」と「ニコニコペース」が効果的であると考えられます。
つまり、とても速く走るランナーのペースはニコニコペースなのです。
ニコニコペースの設定方法
では、自分にとっての「ニコニコペース」はどのように設定すればいいのでしょうか?
これを知るためには、次のようなテストが必要になります。200もしくは400mトラックで、ゆっくりとした一定のペースで4分間走ります。
そして走行終了直前の心拍数を、走行後に乳酸を機械的に計測します。同時に、走ったときの運動の強さをどの程度に感じられたのか、「ボルグの主観的運動強度」の表をもとに、聞き取りをします。
このとき、5~6回程度の計測をそれぞれ異なるスピードにて実施します。
そこで得られた計測値をグラフにします。(縦軸;血中乳酸濃度、横軸;スピード)グラフにすることでどの速度から血中乳酸濃度が上昇するいのかがわかります。
つまり、血中乳酸濃度が上昇し始める速度を乳酸閾値と呼び、ニコニコペースとなります。
表2 ボルグの主観的運動強度
ニコニコペースまとめ
いかがでしょうか。
フルマラソンでサブ4を達成するためのプロセスとしてニコニコペースという笑顔で走れるペースで走るのがあります。
そのペースはもちろん人によって異なります。
この記事を読んでニコニコペースの大切さを理解して頂けると幸いです。